2025年度の新築木造住宅への主な助成金 ZEH水準住宅
ZEH(ゼッチ)水準住宅の助成金についてですね!難しそうに聞こえるかもしれませんが、分かりやすくご説明します。
ZEH水準住宅ってどんな家?
まず、ZEH(ゼッチ)とは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、エネルギー収支をゼロにすることを目指した住宅のことです。
具体的には、
高性能な断熱材や窓で、家の外に熱が逃げにくいようにする(省エネ)
高効率なエアコンや給湯器などの設備を使って、使うエネルギーを減らす(省エネ)
太陽光発電などで、家で使うエネルギーを自分で作り出す(創エネ)
この3つの組み合わせで、家で消費するエネルギーと、家で作り出すエネルギーの量がだいたい同じになる家をZEHと言います。
そして、「ZEH水準住宅」というのは、完全にZEHの基準を満たしていなくても、ZEHに近い高い省エネ性能を持っている住宅のことを指します。
どうしてZEH水準住宅が注目されているの?
地球温暖化対策のため、国を挙げて省エネ住宅の普及を進めています。ZEH水準の家を建てることで、以下のようなメリットがあります。
光熱費が安くなる:高い断熱性能と省エネ設備で、エアコンや暖房の使う量が減り、電気代やガス代を抑えられます。
快適な暮らし:夏は涼しく、冬は暖かいので、一年中快適に過ごせます。温度差が少ないので、ヒートショックのリスクも減らせます。
災害に強い:太陽光発電と蓄電池を組み合わせれば、停電時にも電気を使えるので安心です。
補助金や優遇制度が使える: 国や自治体から、ZEH水準の住宅を建てる人への補助金や税金の優遇措置が用意されています。
どんな助成金があるの?(2025年度の情報)
ZEH水準住宅に対する助成金は、主に国の事業として行われています。2025年度に注目されている主な助成金は以下の通りです。
1. 住宅省エネ2025キャンペーン(国土交通省、経済産業省、環境省連携事業)
これは複数の補助金制度をまとめたキャンペーンで、ZEH水準住宅を建てる場合に利用できるものがあります。
子育てエコホーム支援事業(国土交通省)
対象: 子育て世帯(19歳未満の子がいる世帯)または若者夫婦世帯(夫婦いずれかが40歳未満の世帯)が対象です。
補助額: ZEH水準住宅の新築で80万円/戸。長期優良住宅の場合は100万円/戸、さらに高水準のGX志向型住宅では160万円/戸と、より高額になります。
ポイント: 古い家を取り壊して新築する場合、追加で補助金がもらえることもあります。
経済産業省と環境省のZEH補助金(戸建住宅ZEH支援事業など)
対象: ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedなどの基準を満たす住宅が対象です。
補助額: ZEHやNearly ZEH、ZEH Orientedで55万円/戸、ZEH+では90万円/戸(地域や設備によって上限が異なります)。蓄電システムなどの設備を導入すると、さらに追加補助が受けられる場合があります。
これらの補助金は、併用できるものとできないものがあるので、注意が必要です。 詳しくは、担当の建築会社や工務店に相談するのが確実です。
その他の優遇制度
補助金以外にも、ZEH水準住宅は以下のような優遇が受けられる場合があります。
住宅ローン減税:住宅ローンを借りてZEH水準住宅を取得すると、年末のローン残高の0.7%相当額が所得税や住民税から一定期間控除されます。
【フラット35】ZEH: 住宅金融支援機構の長期固定金利型住宅ローン「フラット35」で、ZEHの基準を満たす住宅の場合、当初5年間などの金利引き下げが受けられる優遇があります。
贈与税の非課税枠の拡大: 親などから住宅取得資金の贈与を受ける場合、ZEH水準の住宅であれば非課税枠が一般住宅より拡大されます。
助成金を受け取るための流れと注意点
助成金を受け取るには、いくつかの条件や手続きがあります。
ZEHビルダー/プランナーに依頼する:多くのZEH関連の補助金は、事前に国に登録された「ZEHビルダー」や「ZEHプランナー」として登録している住宅事業者(ハウスメーカー、工務店など)が設計・建築・販売する住宅が対象となります。
申請要件を確認する: 補助金の種類によって、住宅の性能、床面積、居住者の要件(例:子育て世帯であること)などが細かく定められています。
申請スケジュールに注意する:補助金にはそれぞれ申請期間が決まっており、予算がなくなり次第終了となる場合が多いです。早めに計画を進め、担当の建築会社と協力して申請準備をすることが大切です。
交付決定前の着工に注意:補助金の交付決定前に工事に着工すると、補助金が受けられない場合があります。必ず交付決定を待ってから着工しましょう。
設計変更はできない:補助金を申請すると、間取りや設備など、申請した内容での建築が求められます。申請後の設計変更は原則できません。
どこに相談すればいいの?
ZEH水準住宅の助成金は、制度が複雑で年度によって内容が変わることもあります。一番良いのは、ZEHの建築実績が豊富なハウスメーカーや工務店に相談することです。彼らは最新の補助金情報に詳しく、申請手続きも代行してくれることが多いです。
また、国土交通省の「住宅省エネ2025キャンペーン」の公式サイトや、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)のZEH補助金に関するサイトでも、最新の情報を確認できます。
ZEH水準住宅は、初期費用が少し高くなる傾向がありますが、光熱費の削減や快適な暮らし、災害への備えなど、長期的に見れば多くのメリットがあります。ぜひ、助成金を上手に活用して、高性能な家づくりを検討してみてくださいね。
ZEH水準住宅の具体的な基準は
少し専門的な用語も出てきますが、ひとつずつ分かりやすくご説明します。
ZEH(ゼッチ)の考え方は、「高断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの要素でエネルギー収支をゼロに近づける、またはゼロにするというものです。
ZEHの具体的な4つの基準
ZEHの住宅として認められるには、以下の4つの基準をすべて満たす必要があります。
強化外皮基準のクリア(高断熱)
「外皮」 とは、屋根、外壁、床、窓など、建物の内と外を区切る部分のことです。ここからの熱の出入りを少なくすることで、冷暖房の効率を高めます。
この性能を示すのが「UA値(外皮平均熱貫流率)」です。UA値が低いほど、熱が逃げにくい(断熱性能が高い)ことを意味します。
日本の地域は、気候に応じて1地域(北海道)から8地域(沖縄)まで区分されています。それぞれの地域によってUA値の基準が異なります。
1・2地域(北海道・東北など寒冷地):0.40W/(㎡⋅K)以下
3地域(東北南部・北関東など): 0.50W/(㎡⋅K)以下
4~7地域(関東・東海・関西・九州など):0.60W/(㎡⋅K)以下
これらの基準を満たすためには、高性能な断熱材の採用や、二重ガラス・Low-E複層ガラスなどの高断熱窓の設置が不可欠です。
基準一次エネルギー消費量を20%以上削減(省エネ)
「一次エネルギー消費量」 とは、冷暖房、換気、給湯、照明などの設備で使うエネルギーの合計量のことです。
化石燃料や水力、太陽光など自然界から得られるエネルギーを「一次エネルギー」と言い、電気やガスなどはこれを変換して作られる「二次エネルギー」とされます。
この基準では、再生可能エネルギー(太陽光発電など)を除いた、建物の設計によって削減できるエネルギー消費量が、国が定める「基準一次エネルギー消費量」から20%以上削減されている必要があります。
高効率なエアコン、LED照明、エコキュートやエコジョーズなどの高効率給湯器、熱交換換気システムといった省エネ設備の導入で達成を目指します。
再生可能エネルギーの導入(創エネ)
太陽光発電システムなど、家でエネルギーを創り出す設備を導入することが必要です。
設備の容量に具体的な規定はありませんが、次の基準(エネルギー収支ゼロ)を達成できる容量が必要です。
一次エネルギー消費量が実質ゼロ以下(100%以上削減)
上記1と2の省エネ努力に加えて、3の再生可能エネルギーで創り出すエネルギーの量が、家で消費するエネルギーの量を100%以上相殺できることが求められます。
つまり、「消費エネルギー量 - 創エネルギー量 = ゼロまたはマイナス」 となることがZEHの最終目標です。
ZEHの種類とそれぞれの基準
一口にZEHと言っても、地域や建物の条件によっていくつかの種類があり、それぞれ少しずつ基準が異なります。
ZEH(ゼッチ):上記の4つの基準をすべて満たす住宅。年間の一次エネルギー消費量が実質ゼロ以下。
Nearly ZEH(ニアリーゼッチ): 寒冷地、低日射地域、多雪地域など、太陽光発電で十分にエネルギーを賄うのが難しい地域で認められるZEHに近い基準の住宅です。再生可能エネルギーを含めて、一次エネルギー消費量を75%以上100%未満削減できていれば認められます。
ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド): 都市部の狭小地(平屋を除く)や多雪地域など、物理的に太陽光発電の設置が難しい場合に認められるZEHです。この場合、再生可能エネルギーの導入は必須ではなく、強化外皮基準と省エネ基準(20%以上削減) を満たせばZEHとして認められます。
「ZEH水準」とは?(2025年度の重要なポイント)
助成金の説明で出てくる「ZEH水準住宅」は、厳密なZEHの定義とは少し意味合いが異なります。
「ZEH水準」 とは、断熱等性能等級5 かつ 一次エネルギー消費量等級6 の基準を満たす住宅を指すことが多いです。
これは、国が2030年以降に新築されるすべての住宅に対して義務化を目指している省エネ性能レベルです。
この「ZEH水準」には、再生可能エネルギー(太陽光発電など)の導入は必須ではありません。 省エネ性能が高い家、という位置づけになります。
2025年度の住宅省エネキャンペーンの「子育てエコホーム支援事業」では、この「ZEH水準住宅」が補助金の対象となっています。
まとめると、
ZEH: 高断熱+高効率設備(20%以上削減)+創エネ(合計でエネルギー収支ゼロ)
ZEH水準住宅(補助金の文脈で): 高断熱(断熱等性能等級5)+高効率設備(一次エネルギー消費量等級6)で、太陽光発電は必須ではない、というイメージです。
住宅性能表示制度とZEH
住宅の省エネ性能は、「住宅性能表示制度」に基づいて評価され、「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」という第三者認証制度によって、その性能が星の数などで表示されます。
断熱等性能等級: 住宅の外皮(屋根、壁、床、窓など)の断熱性能を示す等級です。等級が高いほど断熱性能が高いです。ZEH水準では等級5以上が必要です。
一次エネルギー消費量等級: 住宅の設備(冷暖房、換気、給湯、照明)による一次エネルギー消費量を示す等級です。等級が高いほど省エネ性能が高いです。ZEH水準では等級6以上が必要です。
これらの等級を満たすことで、ZEH水準住宅として認められ、補助金などの対象となることが多いです。
ZEH水準住宅は、これからの住宅の標準となる省エネ性能を持った家です。少し複雑に感じるかもしれませんが、これらを理解して家づくりを進めることで、快適で経済的な暮らしが実現できます。
ティダホーム 一級建築士 藤井高徳
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